違法マーケティングにならないためには?企業がとるべき対策
近年、度々話題になることがあるステマなどの違法なマーケティング。
企業の担当者としては、健全にマーケティング施策を講じることが求められます。
しかし、「どんなマーケティングが違法なのか」「違反するとどうなるのか」などと疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、違法マーケティングとは何かをはじめ、その問題点や、違法とならないための対策などを解説します。
01違法マーケティングとは?
違法マーケティングを行えば、当然企業イメージが悪くなり、業績悪化につながることも考えられます。
違法とならないための対策を講じるために、まずは違法マーケティングの「違法」が何を指すのか理解しておく必要があります。
違法マーケティングとは
「違法マーケティング」に明確な定義はありません。
マーケティングの手法や、どのようなポイントが違法とみなされるかについては、さまざまなパターンが考えられます。
共通していえることは、「消費者をだますことにつながる」あるいは「消費者が不利益を被ることになる」マーケティングということです。
分類するならば、「なりすまし型」と「利益提供型」が挙げられます。
なりすまし型は、企業が一般消費者になりすまして、口コミや評価を書くような手法です。
自社へ好評をつけるだけでなく、競合の評判を落とすタイプもあります。
一方、利益提供型は、インフルエンサーなどに報酬を渡して宣伝を依頼する手法です。
宣伝であるにもかかわらず、それを隠してただ愛用品を紹介しているかのような投稿をするケースが挙げられます。
ステマ(ステルスマーケティング)と呼ばれる違法マーケティングの多くは、このようなケースです。
ブログやInstagram、Facebook、YouTubeなどのSNSを利用して行われることが一般的です。
違法マーケティングのリスク
違法マーケティングは、意図したものかどうか、悪意があるかどうかにかかわらず問題となる行為です。
違法マーケティングとみなされると、自社および業界全体に対する信用力が低下することが大きなリスクといえます。
一度失った信頼を回復することは困難です。
特に現在のインターネット社会では、過去の不祥事の記録はいつまでも残り続けるうえ、誰もがすぐに調べることができます。
また、炎上のリスクがあることも大きなリスクのひとつです。
一度炎上してしまうと、沈静化させるには多くの時間やコストを要することがあります。
02違法とみなされた場合の罰則
自社ブランド、信用度の低下や炎上リスクだけでなく、違法マーケティングは法に触れることもあります。
違法マーケティングに関する法的規制
違法マーケティングを行うと、景表法(景品表示法)に触れる可能性があります。
景表法とは、企業が自社商品・サービスを宣伝したり広告を出したりするときの決まりを定めた法律です。
企業による嘘の表現や大げさな表現によって、消費者が誤った判断をしたり不利益を被ったりしないようにすることを目的とします。
マーケティングにおいては例えば、景表法で禁止されている「不等な表示」に該当する場合に、違法だとみなされます。
不当な表示における宣伝・広告の方法とその内容は、以下の2つです。
- 優良誤認表示:商品・サービスの内容を、実際よりも(他社の競合商品・サービスよりも)著しく良いものに見せかけること
- 有利誤認表示:商品・サービスの値段などを、著しく有利に見せかけること
違法マーケティングに対する罰則
違法マーケティングとみなされた場合、法的にどのような罰則が与えられるかというと、次の3パターンが考えられます。
- 民事上のペナルティ
- 行政上のペナルティ
- 刑事上のペナルティ
宣伝・広告内容が景表法に違反している場合、消費者から損害賠償されるなど、民事上のペナルティが与えられることがあります。
民事上のペナルティのほか、行政上のペナルティもあり、消費者庁からペナルティを受ける可能性もあります。
さらに、行政からの措置命令を無視したり抗ったりした場合には、刑事上の罰則を受ける事となります。
その場合、最大2年の懲役、最大300万円の罰金のいずれか、または両方が科される可能性があるため注意が必要です。
03合法なマーケティング活動を行うには
合法的にマーケティングを実施するための基本的な概念として、以下の2つを押さえておくとよいでしょう。
WOMJガイドラインを遵守する
1つ目は、WOMJガイドラインを守ることです。
WOMJではさまざまな法人・個人が会員として参加しており、特にステマなどのトラブルが起こりやすいクチコミによるマーケティングを健全に実施・普及のための活動をしています。
このガイドラインを守っていれば、違法マーケティングの防止につながることから、会員以外もマーケティングを活動時に活用するとよいとされています。
「これは大丈夫?」と迷ったときのひとつの指針にすることができます。
エシカルマーケティングの重要性を理解する
2つ目は、エシカルマーケティングの考え方を取り入れることです。
エシカルマーケティングとは、企業活動において、ただ商品・サービスの価値を訴求するだけでなく、価値観や倫理観などに基づくマーケティング活動を行うことを意味します。
企業の社会的責任や、地球環境への配慮を大切にしながら実行するものです。
エシカルマーケティングの柱となる考えとして、 透明性の確保や、 持続可能性(環境への配慮)が挙げられます。
「透明性の確保」については、違法マーケティング防止につながる考え方です。
具体的には、誤解を招く表現や大げさな訴求を避けることが重要であること、そして、消費者にとってデメリットになる内容でも正直に提示するほうが長期的に見て信頼度を上げることができるといった内容です。
04違法マーケティングとならないための実践的対策
違法マーケティングを避けるためには、以下の3つの対策が有効です。
① 内部管理とチーム教育の徹底
マーケティング部門の内部管理およびチーム管理を徹底することが重要です。
マーケティング活動に関するルールやマニュアル、ガイドラインを策定したり、定期的にマーケティングに関する研修や勉強会を実施したりする必要があります。
自社でノウハウや経験が不足している場合には、外注することもひとつの方法です。
② 法的コンプライアンスの確保
たとえ法に触れなくても、コンプライアンス違反となれば企業にとって大きな問題です。
インフルエンサーマーケティングを実施する場合、起用したインフルエンサーの発言がコンプライアンス違反とみなされ炎上すれば、自社にまで影響が及びます。
マーケティング実施にあたっては、コンプライアンスについて徹底することが必要です。
専門家によって規定を定めてもらったり、実態を確認してもらったりすることが有効といえます。
③ 透明性と信頼性を重視したマーケティング戦略の構築
単に認知向上や売上を意識したマーケティングではなく、透明性・信頼性を重視したマーケティング戦略を検討することも、対策のひとつです。
そのためには、「消費者にどう利益をもたらすのか」「世の中がより良くなるための企業活動とは」といった考え方が求められます。
05マーケティング活動における「違法行為への対策ガイドライン」策定ポイント
健全なマーケティング活動を実践するには、「違法行為への対策ガイドライン」を策定することが重要です。
また、それを周知させること、定期的に教育する機会を設けることが必要となります。
① マーケティング施策の法的チェックリストをつくる
マーケティングを行うにあたって、違法とならないようにするためのポイントをまとめる必要があります。
チェックリストとしてまとめて、施策ごとに確認するようにすることが重要です。
▼チェックリストの項目例
- 広告主について、関係性を明記しているか
- 金銭のあり/なしの明記方法
- 偽装行為の有無
- 嘘や誇張した表現の有無
- 記載内容の誤りはないか
②監視・モニタリングの体制を構築する
マーケティングは、広告を打ち出したり、PRを発信したりして終わりではありません。
運用状況を確認することが重要ですが、そのなかで違法マーケティングの可能性の有無を調査することも必要です。
監視およびモニタリングの体制を構築することがポイントといえます。
③法的アドバイザーと協力する
ガイドラインを設けるときは、専門家にアドバイスをもらうとスムーズです。
法律の専門家へ相談するほか、マーケティング専門会社に依頼する方法もあります。
④常に最新の情報とトレンドを把握する
どのようなことが違法となり得るのか、判断が難しいこともあるでしょう。
その判断をするのに有効な方法のひとつに、トレンドを把握しておくことが挙げられます。
情報収集することが、合法かつ有効なマーケティング施策を講じることにつながるのです。
- まとめ
- 企業で違法マーケティングを行うと、ブランドへの信頼を失ったり、炎上したりといったリスクがあります。
- 違法とみなされないために有効な対策としては、内部管理と教育の徹底、コンプライアンス遵守のための環境構築、透明性・信頼性を重視した手法を実践することが挙げられます。
- コンプライアンス遵守のためにも、法の専門家、あるいはマーケティングの専門家に相談することも有効です。
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