株式会社ナハト

ARをマーケティングに活用する方法| AR活用事例もご紹介

バーチャル・リアリティを意味する「VR」はよく耳にしますが、「AR」についてはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

ARは私たちの日常生活で利用するサービスにも活用されており、知らず知らずのうちに利用していることもあるでしょう。

この記事では、ARとは何か、ARの活用場面、マーケティングにおいてARを活用するメリットと活用方法をご説明した後、ARを活用したマーケティング事例を3つご紹介します。

01ARとは何か

「AR」は「Augmented Reality」の略で「拡張現実」と訳されます。英単語のAugmentedは「拡張された」、Realityは「現実」の意味。

「AR」の仕組みは、現実世界の画像や映像にCG(コンピューター・グラフィックス)で作られた画像・映像を重ね合わせることで「現実」を「拡張」する技術です。

ARとVRやMRの違い

「VR」は「Virtual Reality」の略で「仮想現実」と訳されます。

ARが現実世界をベースとして仮想世界のCGを重ねているのに対し、VRは仮想現実をCGでゼロから作り出します。

VRは様々なゲームで活用されており、仮想世界に没入して体験できる臨場感を多くの人が楽しんでいます。

ARの発展形とも言われる「MR」は、「Mixed Reality」の略で「複合現実」と訳されます。MRは現実世界と仮想世界が相互に影響し合う空間を作る技術です。

ゴーグル等を装着して体験するMRは仮想世界のデジタル情報を操作できる点と、複数人で同時に同じ仮想空間を体験できる点で、ARと異なります。

ARの歴史

ARの基となる技術自体は20世紀に開発され、軍事目的等で用いられてきました。

ARの実用化が本格的に進んだのは、当該技術が「AR(拡張現実)」と名付けられた1990年以降です。

携帯端末が普及し始めた2000年代、ARを活用したゲームが続々登場。
ARが一般消費者向けサービスに活用されるようになりました。

パソコンで活用されていたARが、技術の進歩によりスマートフォンのアプリでも利用できるようになり、エンターテイメント系アプリを中心に普及が進みました。

2016年、ARを使ったゲームアプリの「ポケモン GO」が世界中で流行。

ARを搭載したゴーグル型の「ウェアラブルデバイス」は2010年代に登場しました。

ゴーグル型のデバイスは両手が空くので、たとえば医療業界や物流業界における作業時、スポーツの練習時に活用されています。

その後アメリカの企業がARを搭載したコンタクトレンズ型デバイスを開発。
今後はこのような小型のウェラブルデバイスが開発されると予想しています。

2017年に発売された「iOS 11」以降のバージョンを持つiPhoneやiPadでは、AR機能が搭載されている「ARKit」が導入され、気軽にAR体験をすることが可能になりました。

ARはまず個人消費者向けエンターテイメントで活用が進み、近年はビジネスや医療分野、マーケティング業界にもAR活用の場が広がっています

ARはどんな場面で活用されているか

ARは具体的にどのような場面で活用されているのでしょうか。

以下で企業向けサービスと個人消費者向けサービスに分けて、ARが活用されている事例を解説します。

企業向けにARを活用した事例

企業向けサービスにおいては、様々な業界における企業の業務効率化やマーケティングにARが活用されています。

たとえば建設業界においては、戸田建設の「建機AR」のように、工事現場での建機の使用をシミュレーションし、安全性を事前に検証できるシステムが活用されています。

遠隔地にいる監督者が現場の映像を見ながら、現場作業を監督することも可能です。

物流業界でARを活用した事例として、ドイツの大手物流会社DHLはAR搭載のスマートグラスを導入。

倉庫でのピッキング作業時に、商品の場所や商品までのルートが表示され、商品を探す時間が短縮できます

医療現場でも、ARを活用した遠隔医療システムが導入され始めています。

たとえば、遠隔地にいる専門医が現地の執刀医とARで画像や映像を共有し、リアルタイムで手術の指示を行うことができます

また、様々な業界の従業員教育や研修においてもARが活用されています。

機械の操作方法を教える際などデモンストレーションが必要な研修において、ARを活用すればバーチャルにシミュレーションできます。

さらにARは企業のマーケティングにも活用されつつあり、後ほど詳しく解説します。

個人向けにARを活用した事例

個人消費者向けサービスでは、エンターテイメント系アプリや教育アプリにARが活用されています。

ARを活用したゲームアプリで代表的なものと言えば「ポケモン GO」です。

GPS(全地球測位システム)の位置情報を取り込み、現実世界を歩いている間にスマートフォンの地図上にポケモンが表示され、ポケモンを捕まえて遊ぶゲーム。

現実の街中にキャラクターが表示されるという斬新さと、街中を実際に歩いて遊ぶという従来のゲームにはなかったアクティブさが受けて、幅広い層に人気となりました。

ARを活用した写真加工アプリ「SNOW」は若年層の間で人気があります。
メガネやメイクなど数百種類もある「エフェクト」を写真に追加可能。

撮影後の画像を加工する従来の写真加工アプリと異なり、スマートフォンのカメラに映し出された画像に加工しながら撮影できます。

ARを活用した観光用アプリには、凸版印刷が開発した「ストリートミュージアム」があります。

スマートフォンのカメラを起動すると、現実を写した画面上に、現在は存在しない史跡が表示されます。

エンターテイメント系のアプリだけでなく、学びにつながる教育用アプリにもARの活用が進んでいます。

たとえば、スマートフォンのカメラを星空にかざすと星座を表示できる「星座早見AR」アプリや、図鑑にスマートフォンをかざすと立体的な映像が見られるアプリなどがあります。

02マーケティングの視点から見たAR

ARは、前述したように企業のマーケティングにおいても活用され始めています。

以下で、ARをマーケティングに活用するメリットと活用方法、ARをマーケティングに活用した具体的事例を見ていきましょう。

03ARをマーケティングに活用するメリット

現実世界に仮想世界を重ね合わせることができるARが、マーケティングにおいて広告の訴求力を高め、販売促進や集客効果を高めるのに役立っています。

また、AR活用により顧客満足度が高まり、人件費を削減する効果もあります。

ARを活用して売り上げ増加

商品のマーケティングにおいて、従来の広告は画像や映像を消費者が一方的に見るだけなのが一般的でした。

ARを活用したプロモーションであれば、商品を自宅などで疑似体験してもらうことが可能です。

家具、衣類やアクセサリーなどのファッションアイテム、メイクなどは、実際の部屋や個人に合うかどうかが重要な商品といえます。

ARを活用して商品をシミュレーションしてもらうことで、顧客への訴求力が高まり販売促進につながります

ARで商品の満足度が高まる

ARを活用したマーケティングは、潜在顧客を購入につなげやすくなるだけではありません。

商品をシミュレーションしてから購入することで、購入後に「イメージと違った」などの理由で返品するのを減らせるメリットがあります。

つまり、ARを活用することで顧客満足度が高まり、商品の返品率を下げる効果が期待できます。

ARで観光客や来客が増加

AR活用を通じて、観光地や美術館などの施設での体験をより豊かなものにし、移動の利便性を高めることが、集客効果を高め訪問者数や来客数の増加につながります。

ARで人件費削減

ARを活用することは人件費削減にもつながります。

これまで、ファッションやメイクはスタッフのいる実店舗で試着したり試したりし、観光地においては、スタッフが歴史やアートの説明をしてきました。

ARを活用すれば、スタッフの説明の手間を減らすことができ、スタッフの人数も抑えられます

また、商品のマーケティングに必要だった展示スペース等も縮小することができます。

04ARをマーケティングに活用する方法

商品や観光地のマーケティングにおいて、ARを活用したアプリやシステムが活用されています。

具体的にはどのような方法があるのでしょうか。

ARを販売促進に活用する方法とARを使って集客効果を高める方法に分けて、以下で解説します。

ARを販売促進に活用する方法

商品の販売促進にARを活用する方法には、ARを活用したアプリ等で商品を立体的にシミュレーションできるようにするプロモーション方法があります。

たとえば、NIKEの公式アプリに搭載されたAR機能「NIKE Fit」は、スマートフォンのカメラで足のサイズを計測すると、足のサイズに合わせて適した靴が提案されます。

宅配業者「ドミノピザ」では、自分の部屋にARで商品を表示してメニューのサイズ感を確認できます。

住宅産業の例を挙げると、建設予定地に完成後の住宅をCGで映し出し、シミュレーションすることができる「QHOME」というアプリがあります。

周りの景色に家がなじむか、間取りのサイズ感は合っているかなどを確認することができます。

ARは紙面上の広告でも活用されています。

広告にスマートフォンをかざすと商品の立体的な映像を見られるアプリなどがあり、顧客への訴求力を高めています

集客効果を高めるAR活用方法

AR活用を通じて集客効果を高めるマーケティング方法にはたとえば、

  • 特定の季節にしか見られない花や架空の動物をARで表示させて現実世界に融合させる
  • ARとGPSを連動させてスタンプラリーを提供する
  • スマートフォン上にARで目的地の方向や距離・所要時間を表示させる

などがあります。

滞在をより楽しいものにし、移動を容易にすることで、来客数の増加が見込めます

05マーケティングにおけるARの具体的活用事例

ARをマーケティングに活用した具体事例を以下でご紹介します。

家具の販売促進にARを活用した事例、メイクの販売促進にARを活用した事例、アート展覧会の集客効果を高めるAR活用事例の3つです。

「RoomCo AR」(家具)

1つ目の事例は、インテリア業界のマーケティングにおけるAR活用の事例です。

RoomCo AR(ルムコエーアール)」は、株式会社リビングスタイルが提供する「インテリア試着アプリ」。

スマートフォンのカメラで自分の部屋などを映した画面上に、AR技術によりCGの家具を実物大で3D表示します。

アプリでシミュレーションする家具は、ニトリや無印良品を始めとする20以上の人気ブランドのアイテムから検索、家具をARで配置した画像は、カメラロールに保存したりSNSに投稿したりできます。

家具を気に入ったら、リンクからECサイトに移動して購入も可能です。

アプリ「RoomCo AR」は、iOS版の場合ARのフレームワークであるアップルの「ARKit」、Androidの場合Googleの「ARCore」に対応しています。

このアプリを使うと、家具を購入する前に自分の部屋に配置した時のサイズ感やイメージをシミュレーションでき、来店せずオンラインでも購入判断しやすくなります。

また、ARによるシミュレーションで、実際に買ってみたらサイズが大きすぎた、イメージが違ったなどの理由による返品を減らす効果も見込めます

「ARメイク」(ZOZOCOSME)

2つ目の事例は、コスメティック業界のマーケティングにおけるAR活用事例です。

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」上にあるコスメ専門モール「ZOZOCOSME」は、ARを活用してバーチャルにメイクを試せる機能「ARメイク」を「ZOZOTOWN」アプリで提供しています。

「DIOR」や「Estee Lauder」といった42ブランドのコスメアイテムを試すことができます。

アプリの商品ページで気に入ったアイテムがあったら、「ARメイク」でカメラを起動。
同じアイテムの違う色を試したり、メイクの濃淡を調整したりすることもできます。

メイクのオン・オフを切り替えることでコスメを使用した場合とそうでない場合を比べることができ、コスメ選びに役立ちます。

以前は店頭でメイクを試すことができましたが、メイクオフしてからでないと違う色やブランドのメイクを試せないため、一度にたくさんのメイクを試すことはできませんでした。

また、現在は衛生的な観点からもリアルでメイクを試すことが難しくなっています。

ARを活用したアプリを利用すれば、自宅でも様々なコスメを手間なく試せます。

アプリ内からコスメを購入することも可能で、購入につなげることもできます
また、アプリでコスメを試すこと自体も楽しい体験になるのではないでしょうか。

「ゴッホ・アライブ」(体験型デジタルアート展)

3つ目の事例は、アート展覧会の集客効果を高めるためにARを活用した事例。

オーストラリアの企画会社「グランデ・エクスペリエンセズ」が開発した「ゴッホ・アライブ」は、画期的な体験型アート展覧会です。

世界70ヵ国で既に850万人以上を動員し、日本でも2022年10月から開催されています。

サラウンド音響により迫力あるクラシック音楽が流れる中、展示室の壁と床に3千点以上のゴッホの絵が投影されます。

マルチスクリーン環境により、360度どの角度からも絵画を鑑賞可能で自分が絵画の中の世界に入り込んだかのように、アートを五感で体験できる没入型の展覧会です。

会場でQRコードを読み取ると、スマートフォンなどの画面上にゴッホが現れ、ゴッホと一緒に写真を撮ることも可能です。

インスタ映えすることを重視する若年層や、新しいアート体験を求める幅広い年齢層の興味を引き付けています。

また、展覧会で撮った写真がSNSにアップされることで、さらに集客効果を高めるメリットも期待されます。

まとめ
拡張現実を意味するARは、ビジネスの業務効率化やマーケティング、個人消費者向けのエンターテイメント系アプリなどで、幅広く活用されています。
 
マーケティングの観点からは、商品をスマートフォンなどでシミュレーションできるようにすることで販売を促進、観光地などでの体験を豊かなものにすることで集客効果を高めるのに役立っています。
 
様々な可能性を秘めているAR技術は、これからのマーケティングに活用する手段の1つとして今後も注目され、さらに発展していくでしょう。
 

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